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投資初心者が陥りやすい誤解5選

更新日:2024年5月8日

60歳まで資金を引き出せないからiDeCoはやらない


人には将来得られる利益よりも、現在得られる利益を優先する心理的傾向(現在志向バイアス)があることが知られています。


特に現在の家計が苦しい場合、数年後に元本のX倍になる可能性が高くても不確かな将来のためにお金を捻出していくことを躊躇してしまいますよね。


しかし、iDeCoの最大のメリットは節税です。


多くの会社員は手取り収入と額面年収にしか気にしていなく、その差額である所得税、住民税、社会保険料をちゃんと見ていないため、節税と言われてもピンとこないのが実態だと思います。


iDeCoでは、月々の掛金が全額所得控除の対象となるので、同じ年収でも課税対象となる所得金額が少なくなり、所得税と住民税を軽減できるのです。


また、毎月の掛金をもとに投資した投資信託の運用益に対しても非課税(通常の口座では運用益に対して20.315%課税される)になります。


SBI証券のこちらのシミュレーションサイトに所定金額などを入力し、いくら節税できるのかをみてみてください。


まずは自分がよく知っていて儲かっていそうな企業の株に投資した


ニュースやYouTubeなどの影響で、投資や株というと多くの人は個別株に目がいきがちです。


しかし個別株投資は銘柄選定にかなりの情報収集と分析力が必要であり、企業固有の読みきれないリスクをかかえることになります。


相当の投資経験と情報収集・分析力がない限り、個別株投資の前に長期インデックス積立投資でより確実なリターンを目指すのがよいといえるでしょう。


投資初心者の場合、そもそもインデックス投資のことを認識できていないことも多いです。


インデックス投資とは強い国の市場全体(経済)の長期的成長を信じて福利の力を活用してお金にお金を稼いでもらうということですね。


下図のように、長期になればなるほどほぼ確実に利益がでることが歴史上証明されています。


S&P500の運用期間とリターン・リスクの関係
S&P500の運用期間とリターン・リスクの関係


株式なので短期的には景気サイクルの中で株価は下落する局面も生まれます。


この下落に対応するために株式だけでなく、債券、コモディティといったアセットクラスに分散し、適宜リバランスすることで継続的・安定的に資産を拡大させることが可能となります。


更に米国を中心とする先進国の株式とは逆相関に近い形の値動きをする新興国株式にも分散させることもリスクヘッジの一つとなります。


分散が大事と聞いたので、業界の異なる米国企業数社と日本企業数社に投資した


短期的に相場の動きを捉え続けることはほぼ不可能であることは下記など先人の研究から明白となっています。


投資の解説本などでも分散が大事と言われる所以です。


だからといって闇雲に複数銘柄に分散すればいいわけではありません。


なぜ分散するかといえば、リスク(ボラティリティ)を低減するためです。


そのためには時系列で逆相関となる値動きをするアセットに分散しなければ意味がありません。


株式だけで銘柄分散してもそのリスク低減効果は薄くなります。


特に日本の株式は米国株式にかなり影響を受けて同じような動きをするので、記載した「業界の異なる米国企業数社と日本企業数社」への投資は分散化効果が薄いということになります。


まずは株式、債券、コモディティという代表的な3つのアセットクラスへの分散割合を決めることが出発点となります。


不動産/REITや仮想通貨などをここに追加してもよいですね。


更に上記は日本、米国など海外先進国、新興国という地域(通貨)で分かれてきます。


アセットクラスの割合は、投資スタンス(増やすためか、守るためか)と資産状況、収入、ライフスタイル、家族構成、年齢、メンタリティ(暴落時にどこまで耐えられるか)などによって適正値は異なるので、まずは各アセットクラスの見込みリターンとリスクを評価しながら決めてみるといいでしょう。


一度決めて運用を開始したら、1年に1度ぐらいに追加資金を割合が減ったアセットクラスに投資するか、増えたアセットクラスを一部売却するなどしてリバランスすることでリターンとリスクを再度適正化することができます。


投資信託は過去実績と運用会社のブランドから選んで投資した


昨今生成AIブームでこうしたテーマに特化した投資信託は直近のパフォーマンスが高く魅力的にうつりますよね。


ただ、これまでもこうしたテーマ特化型の投資信託はブームが終わると暴落する傾向があり、そのタイミングをはかるのも至難の技です。


未来のリターンは誰にもわかりません。


しかし運用コスト=信託報酬は各投資信託の銘柄によって開示されており、将来も基本的に変わりません。


そしてこのコストの差も福利で長期になればなるほど大きな差として運用実績に影響を与えます。


よって投資信託はまずはインデックス連動型で信託報酬が安く純資産が大きい商品を選ぶのが妥当といえます。


投資信託に対してリアルタイムで売買ができ分配金も受け取れるETFの方がメリットが大きい


一見指値で売買できるETFの方が柔軟性があって魅力的に見えます。


また、多くの場合ETFに方が投資信託よりも運用コスト(信託報酬)が安い商品が多い傾向にあります。特に長期運用で複利効果を狙う場合、元本が大きくなればなるほど運用コストは無視できないものとなります。


しかし投資信託には分配金を都度受け取るのでなく、自動再投資に設定することができ、より福利の効果を働かすことができます。100円から投資できるのも魅力です。


それぞれのメリット・デメリットを整理すると、下図のようになり、一概にどちらの方が優れているというものではないことがわかります。




相場暴落時にアセットクラスをリバランスする場合、リアルタイムで売却できるETFは便利なので、分配金のつかない金などのコモディティやボラティリティが比較的おだやかな債券をETFで保有すると、柔軟に対応できるようになりますね。

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