米国投資するならFRBとFOMCを学ぼう
- suddengleam
- 2024年4月27日
- 読了時間: 4分
FRBとFOMCとは
米国の中央銀行は、複数の組織から成り立っているため、FRS(Federal Reserve System=米国連邦準備制度)と言います。略してFED(Federal)とも呼ばれます。
このFRSは、全米12地区の地区連銀を統括する最高意思決定機関であるFRBを中心として、各地区連邦銀行と、FRBのメンバーと地区連銀総裁が集まり金融政策を決定する会合であるFOMCで構成されています。
FRBとは、Federal Reserve Board(連邦準備制度理事会)の略称で、米国の金融政策を決定する中枢機関です。
FOMCとは、Federal Open Market Committee(連邦公開市場委員会)の略称で、FRB内に設置された委員会として年8回開催され、金融政策の立案と実行を担当します。
なぜFRBとFOMCの動向が大事なのか
FRBとFOMCは、金融政策を決定し、金利・金融市場・経済活動に大きな影響を与えるため、投資家はその動向をチェックすることが極めて重要となります。
特にFOMCを通じてパウエル議長を中心に発表される政策金利、GDP、PCE(個人消費物価指数)、失業率などの見通しは、以下の金融・経済動向に大きな影響を与えています。
長短金利
為替レート
景気動向
株式市場
債券市場
米国への投資を考える場合、FRBとFOMCの動向を理解することは非常に重要です。
FRBが目指すこと
FRBは、以下の2つの目標を達成することを目指しています。
物価の安定
雇用の最大化
物価の安定
FRBは、物価上昇率を2%程度に維持することを目標としています。物価上昇率が過度に高くなると、インフレが発生し、経済活動が混乱する可能性があります。
雇用の最大化
FRBは、失業率をできるだけ低く維持することを目標としています。失業率が高くなると、国民の生活が困窮し、社会不安につながる可能性があります。
FRBは、金融政策を通じて、物価の安定と雇用の最大化という2つの目標を達成するために努力しています。
FOMCの構成メンバー
FOMCは、以下のボードメンバーで構成されています。
FRB理事7人(議長、副議長含む)
地区連邦準備銀行総裁5人(うちニューヨーク連邦準備銀行総裁は常任)
FOMCのボートメンバーは、投票権を持ち、金融政策について議論します。ニューヨーク地区連銀総裁を除く地区連邦準備銀行総裁4名は毎年入れ替わります。
2024年は、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコの各地区連銀総裁がボードメンバーとなっています。
その他、FOMCにはその他7名の地区連銀総裁も参加し、合計19名となります。
FOMCの開催日と発表内容
FOMCは、通常年に8回開催されます。FOMC開催後には、声明文と経済予測が発表されます。
FOMC発表内容には、以下のものが含まれます。
政策金利の決定
GDP(経済成長率)の見通し
物価上昇率の見通し
決定した政策金利は、2年先の見通しまで「ドットプロット」として可視化されます。各ドットが上記FOMC参加19名の各メンバーの見解を表しています。
高い政策金利で金融引き締めを主張するメンバーをタカ派、逆に金利を引き下げて金融緩和を主張するメンバーをハト派と呼びます。
FOMC後、タカ派メンバーがハト派的意見に変わる場合、金融緩和の兆候と読み取ることができます。
年4回のSEP
FOMCは、年4回(3月、6月、9月、12月)、経済状況や金融政策の見通しを示した「経済・金融情勢の展望(SEP=Summary of Economic Projections)を公表します。SEPには、以下の項目が含まれます。
政策金利の見通し
GDPの見通し
PCE(物価上昇率)の見通し
失業率の見通し
SEPは、FRBの将来の金融政策の方向性を示す重要な文書として、市場関係者から注目されています。
FOMC発表内容はどこを見ればよいか
FOMC発表内容、SEP、議事要旨は、以下のFRBのウェブサイトで確認できます。
2024年3月FOMCの発表内容と2024年米国相場見通し
2024年3月15-16日に開催されたFOMCでは、政策金利は据え置かれ、以下の声明が発表されました。
最近の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大していることを示唆しています。雇用の増加は引き続き堅調で、失業率は低いままです。インフレは過去 1 年間で緩和しましたが、依然として高い水準にあります。パウエルFRB議長は、年内中に利下げを開始する可能性を示唆しました。
2024年3月FOMC発表内容(中央値)
政策金利:据え置き(5.25~5.5%)
2024年GDP成長率:2.1%
2024年コアPCE物価指数前年比:2.6%
2024年失業率:4.1%
前回2023年12月のFOMCで発表されたSEPの経済見通しに比べると、以下のように強い経済の状態が想定以上に継続し、インフレ再燃を危惧していることががわかります。
2024年GDP成長率
予測が前回から+0.7
2024年失業率
予測が前回から▲0.1
2024年コアPCE
予測が前回から+0.2
2024年米国相場見通し
今のところ年内3回の金利低下が予定されていますが、ドットプロットを見るとタカ派が増えていることをふまえ、今後の経済データしだいでは利下げ回数が減少する可能性もありますね。
また、逆イールド状態が継続しているますが、その解消まではまだ時間がかかりそうで、今年は大統領選ということもあり、しばらくは株価にとってはポジティブな環境が継続していくものと思われます。